海外の急速な金利上昇により、多くの地銀が外債の含み損への対応に苦しんでいる。うまく損失処理できた地銀との差はどこにあるのか。
「目先の利回りを追い求めた結果だ」。ある都市銀行の市場運用部門担当者がそう指摘するのは、山形県に本店を構えるきらやか銀行の有価証券ポートフォリオだ。
きらやか銀行は11月11日に公表した2022年4~9月期決算において、中間期としては過去最大となる46億円の最終赤字を計上した。主因は大口取引先に対する貸倒引当金の計上で、通期も49億円の赤字を予想している。
同行は2022年5月から、金融機能強化法に基づく公的資金の申請準備を進めている。「旅館業や観光業など地元企業への支援のため、あらかじめ資本を増強する」ことが理由だ。だが同行は取引先の不振のほかにも、“有価証券運用の含み損”という名の爆弾を抱えている。
“海外シフト”を進めた地銀の悲劇
9月末時点で、きらやか銀が抱える有価証券の含み損は173億円。このうち168億円は、外国債券(外債)などが該当する「その他」の有価証券だ。アメリカなどでの急速な金利上昇に伴い、外債の時価が大きく下落していることが背景にある。
きらやか銀の場合、
同行が投資しているのは、SBIが運用する外債ファンドだ。ここには欧米国債のほか、州政府などが発行する地方債も含まれる。「海外の地方債は表面利回りこそ高いが、流動性が低く価格変動も大きい。積極的に投資している銀行は多くないのではないか」。冒頭の担当者はそう話す。
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