金融庁、顧客本位原則の「ルール化」に広がる波紋 金融機関からは過剰な規制に対する警戒感も
顧客本位の業務運営をルール化する議論が本格化。しかし規制を受ける証券会社からは、困惑や不安の声が上がっている。
かつての厳格な監視体制が復活することになるのか。
金融庁がかねて掲げてきた「顧客本位の業務運営」をめぐり、現状の原則をルール化する議論が足元で進んでいる。今後の議論を踏まえて早ければ年内にも報告書をとりまとめ、2023年の通常国会で法案の通過を目指す。
11月7日に開いたタスクフォースで、金融庁は「顧客に対して誠実・公正に業務を行い、顧客の最善の利益を図るべきである」といった規定を金融サービスの提供に関する法律や金融商品取引法に書き込むことについて、作業部会メンバーらの意見を求めた。
学識経験者らで構成する部会参加者からは、今のところ大きな異論は出ていない。ただ、顧客本位の原則が金商法などで規定されると、場合によってはルール違反を根拠とした立ち入り検査の実施や行政処分につながる可能性もある。それだけに証券業界をはじめ金融機関には警戒感が広がっている。
法律で定める“ルール”へ格上げする理由
そもそも顧客本位の業務運営は、利益相反の管理や手数料の明確化、わかりやすい情報提供など、7つの項目からなる「原則」として、2017年3月末に金融庁がとりまとめた。5年半が経過した今、いったいなぜルール化の議論が始まったのか。
背景には金融商品の販売をめぐって、“不適切”と考えられる事例が相次いで発覚していることがある。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
無料会員登録はこちら
ログインはこちら