「仕組み債」めぐる当局と金融機関のいたちごっこ 乱売と規制のループはいつまで続くのか

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仕組み債が2022年の金融庁の行政方針でやり玉に挙げられる予兆はあった。関係者の耳目を集めたのが、5月に公表された「資産運用業高度化プログレスレポート2022」の一文だ。

仕組債の商品説明資料
仕組み債はデリバティブを用いた複雑な商品だ。営業担当者でさえ、商品性の理解が不十分なまま顧客に販売する例もあるという(記者撮影)

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「仕組み債」をめぐって、金融庁と金融機関との間に緊張が高まっている。

発火点は金融庁が8月31日に公表した「2022事務年度金融行政方針」だ。仕組み債がはらむリスクや販売手数料の高さを指摘し、実態把握のためモニタリングを行うと表明。慌てた証券会社などの金融機関は相次いで仕組み債の販売体制見直しに動いた(詳しくは「独自調査で判明!地銀系の証券会社が『仕組み債』の販売を続々停止」)。

仕組み債はデリバティブの一種であるオプション取引を用いた金融商品で、中には10%と高い利回りをうたう一方、株価や為替などに連動して償還条件が変動し、下落時には大きな損失を被る。元々プロ向け商品だったが、近年は個人投資家にも積極的に販売され、仕組み債の販売手数料が収益柱となっている証券会社もある。

「購入する意義」はほとんどない

金融庁はこれまでも、顧客の利益に資さないとみなした商品のモニタリングを行ってきた。そのたびに金融機関は別の商品に軸足を移し、金融庁が新たに是正に乗り出すという「いたちごっこ」を繰り返してきた。

仕組み債が今回の行政方針でやり玉に挙げられる予兆はあった。関係者の耳目を集めたのが、2022年5月に公表された「資産運用業高度化プログレスレポート2022」の一文だ。

「株式に代えてEB債を購入する意義はほとんどない」。

金融庁は仕組み債の一種であるEB債について、異例の表現で切り捨てた。

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