有料会員限定

第一地銀の「四国アライアンス」が生んだ再編の渦 四国4県の地銀連携に第二地銀と信用金庫が猛追

✎ 1〜 ✎ 24 ✎ 25 ✎ 26 ✎ 最新
拡大
縮小

徐々に加速し始めた地方銀行の再編ドミノ。全国のエリア別にその最前線を追った。今回は中国・四国編。

特集「地方銀行ランキング」の他の記事を読む

「やはり四国アライアンスは砂上の楼閣なのか」。2022年3月、高知県の四国銀行が大和証券と進めていた包括業務提携の最終契約を発表すると、地方銀行の関係者はそう冷ややかに語った。

というのも、2年前にも徳島県の阿波銀行が野村証券と包括業務提携を結び、「四国アライアンスは同床異夢か」という観測が浮上していたからだ。

四国アライアンスがスタートしたのは2016年。伊予銀行が主導し、百十四銀行、阿波銀行、四国銀行と、四国4県の第一地銀が業務提携を結んだ。観光業の活性化や事業承継M&A(合併・買収)、ビジネスマッチングなどで四国経済の底上げにつなげる、いわば緩やかな事業連携だ。

伊予銀は完全子会社の四国アライアンス証券(旧いよぎん証券)の商品を、ほか3行が取り扱えるようにしたが、阿波銀や四国銀の大手証券会社との業務提携は「足並みがそろっていない」(先の地銀関係者)ことを周囲に印象づけた。

ただ、伊予銀の関係者は「経営はそれぞれ独立している。アライアンス自体はうまくいっている」と涼しい顔を崩さない(2021年度の全国99行の地銀決算から作成した「衰弱度」総合ワーストランキングはこちら)。

なりふり構わぬ第二地銀と信金

第一地銀の緩やかな連携は、周囲に思わぬ影響を与えた。トモニホールディングス傘下の香川銀行と高松信用金庫が2021年5月、「かがわアライアンス」を締結。第二地銀と信金がなりふり構わずタッグを組んだのだ。

高松信金は香川銀が持つ事業承継やM&Aのノウハウを吸収し、香川銀は高松信金の顧客である中小企業との接点を増やす狙いだ。

次ページ四国の喧噪から取り残された地銀
関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
地方銀行ランキング
地銀の「格差」を見分ける3つのポイント
全国100社の最新決算を総まくり
地方銀行、2020年度決算「総合」ランキング
2020年度決算から健全性、収益性、成長性で独自採点
地方銀行「貸出残高増減率」ランキング
最も増やした銀行は22%増
地方銀行「経費率」ランキング
銀行の効率性が一目瞭然
地方銀行「不良債権比率」ランキング
ワースト1位が唯一の10%超え
次なる再編の焦点は「1県3行」エリア
「全国地銀マップ」で読み解く
地方銀行「自己資本比率」ランキング
1位は19.3%、最下位は7.1%
地方銀行「コア業務純益」ランキング
最も多い銀行は唯一の700億円超え
地方銀行「本業利益」ランキング
100社のうち30社が“赤字"
70%台が8人、地銀頭取「支持率」ランキング
株主総会の「賛成率」を総チェック
愛知銀、中京銀のタッグで狙う「県内最強」の試練
名古屋銀行を抜き去り資金量トップに
変わる「東海エリア」地方銀行の序列
愛知銀行と中京銀行が経営統合
3指標で実力診断、地方銀行「総合」ランキング
2021年度の中間決算で独自採点
地方銀行「経費率」ランキングが示す効率性の違い
経費率90%台から40%台まで大きな差
25行が赤字、地方銀行「本業利益」ランキング
独自試算で地銀の収益格差が浮き彫りに
きらやか銀行、「3度の公的資金申請」に漂う不安
運用受託で含み損拡大のSBIにも厳しい視線
2021年度決算を基に財務健全度などを徹底分析
企業再生のプロが見た地銀の実情と現場力の欠如
島根銀に異例出向した北門信金・伊藤氏に聞く
徐々にきしみ始めた「第4のメガバンク」構想
有価証券の含み損など個別指標をランキング化
青森銀行とみちのく銀行「経営統合」の余波
子会社化した福邦銀に残る根強い「競合意識」
愛知・中京の統合に名古屋銀は静銀提携で対抗
再編の受け皿化に奔走するコンコルディア
四国4県の地銀連携に第二地銀と信用金庫が猛追
地域トップバンクが第二地銀支える県が相次ぐ
あくまで独立路線を強調する地銀トップも
業務提携やシステム連携がこれですべてわかる
ワースト1位は京都銀、頭取「賛成率」ランキング
株主から「ノー」を突きつけられた地銀たち
「地銀1行の県」になる長野、今は合併しどきなのか
八十二銀と長野銀が交渉3カ月で「電撃婚」へ
島根銀行が2度目の増資、「SBI頼み」を避けた意図
地元企業からの「お墨付き」を得られるのか
最低水準は6%台、地銀「自己資本比率」ランキング
トップと最下位では3倍近くの開きがある
半年で3例、地銀の「県内再編ドミノ」は終わらない
地銀最大手の横浜銀が神奈川銀を子会社化へ
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内