銀行が抱える外債の含み損が目下急速に膨らんでいる。どう損失を処理するのか、各行は難しい決断を迫られている。
「金利上昇局面では、もう少しポジションは少なくてもよかった。ちょっと残念だ」。11月14日、みずほフィナンシャルグループ(FG)の決算会見上、木原正裕社長は悔恨の思いを吐露した。
みずほの2022年4~9月期決算は、本業の収益力を示す業務純益が4494億円(前年同期比2.3%減)とまずまずの水準だった。しかし利益の内訳は、当初思い描いていたものとは異なった。国内大手企業や海外向け貸し出しや手数料が伸びた反面、市場運用部門が前年同期比で400億円以上も減益となったのだ。
敗因は米ドル債など海外の債券、通称「外債」への投資だ。
勝負に出た夏の判断が裏目に
アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)による度重なる利上げを受け、代表的な投資対象である米10年債の利回りは、年初の1.5%程度から4%水準にまで達した。今後は5%まで上がるという観測もある。
ところが、みずほを含めた多くの銀行は、「米金利は3%程度が天井」というシナリオを描いていた。
実際、2022年7月には市場関係者の間で「米金利がピークアウトし始めた」という観測が広がった。アメリカの物価上昇が鈍化の兆しを見せ、3%中盤をつけた金利は下落基調に転じた。
金利が下落すると債券価格は上昇する。みずほはここで勝負に出た。債券の「買い場」が訪れたと判断し、米ドル債への投資を積極化させた。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
無料会員登録はこちら
ログインはこちら