多くの地銀が、この半年で有価証券の含み損を膨らませた。一方で外債のマイナス影響をカバーした銀行には、ある共通点がある。
海外の金利上昇を受けて、地方銀行が抱える「含み損」が膨張している。
銀行は四半期ごとに保有する有価証券を時価評価し、その結果を開示している。多くの地銀は近年、相対的に利回りの高い米ドルやユーロ建て債券への投資に傾斜してきた。2022年に入って海外金利が急上昇したことで、外債の時価が取得時の価格(簿価)を下回る含み損が発生している(詳細はこちら)。
外債の含み損は、すぐさま銀行の財務を毀損するわけではない。だが金利上昇が続けば、いずれ投資に用いる外貨調達コストと債券の利回りが逆転する「逆ザヤ」に陥る。「国際統一基準」を採用している一部の大手地銀は、含み損が自己資本から差し引かれる。
東洋経済は全国の地銀99行を対象に、2022年9月末時点での有価証券評価損益を集計。含み損の額が大きい順にランキングした。
なお、有価証券には「株式」「債券」「その他」の3区分が存在するが、外債現物あるいは外債を組み入れたファンドは「その他」に該当する。そこで、有価証券全体の評価損益とは別に、「その他」のみの評価損益も抽出した。
含み損の額がもっとも大きかったのは、640億円の山陰合同銀行。外債などの外国証券で339億円、外債ファンドなどで538億円の含み損を計上した。株式の含み益が242億円あったが、打ち消せなかった。
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