孤立無援の楽天、プラチナバンド争奪で狂う目算 大手3社との溝埋まらず、強気姿勢には変化も

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プラチナバンドの再割り当てをめぐり、楽天が当初要望していた1年以内の早期割り当ての実現が困難な状況となっている。楽天の誤算はなぜ生まれたのか。

既存キャリア3社が保有するプラチナバンドは、楽天モバイルにとってのどから手が出るほどほしい存在だ。写真は5月の新料金発表会に登壇した、楽天グループの三木谷浩史社長(撮影:尾形文繁)

「これでもだめなら、3社ではなく1~2社にロックオンするしかない」。楽天の通信子会社・楽天モバイルの矢澤俊介社長は、総務省の審議会の席上でそう息巻いた。

10月21日に開かれた、「携帯電話用周波数の再割当てに係る円滑な移行に関するタスクフォース」の第14回会合。2022年2月に設置されて以降、プラチナバンドの割り当てを求める楽天と既存キャリア3社の対立が続いている。

プラチナバンドとは、屋内などでも通信がつながりやすい700MHz~900MHz帯の電波のこと。現在はNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが保有しており、新規参入組の楽天は上り・下りで5MHzずつ、3キャリアから割り当てを受けることを求めていた。それによって既存キャリアは1社20MHz、楽天は15MHzの帯域幅を持つことになり、以前よりも公平な競争環境が実現できるという主張だ。

破綻しつつある楽天側の筋書き

楽天は従前、議論の長期化や移行費用の高騰が懸念される場合、1~2社からの割り当てに要望を変更する考えを表明していた。結果的にタスクフォース立ち上げから9カ月が過ぎた現在も、移行にかかる期間や費用をめぐって3キャリアとの間で主張は真っ向から対立。議論は膠着状態にあり、冒頭の矢澤氏の発言につながっている。

矢澤氏が焦燥感をあらわにするのも無理はない。ここに来て、楽天が当初掲げていた「1年以内の早期割り当てが可能」という筋書きが破綻しつつあるからだ。その背景には、3キャリアの猛烈な反発にとどまらない楽天側の別の誤算も見え隠れする。

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