大手企業が開発したサービスは軒並み苦戦。普及の突破口はあるか。
高齢化や耕作放棄などの課題が山積する日本の農業。その再興に期待が寄せられるのが「スマート農業」だ。
作業効率化やデータを活用した農業経営の実現などを進めるテクノロジーツールの総称で、大手製造業やIT企業などが商用化を進めてきた。だが、撤退に追い込まれた事業者も多く、当初の思惑どおりには進んでいない。
富士通は2020年、クラウド型栽培管理システム「Akisai(アキサイ)」の大部分のサービス提供を終了した。東芝や大戸屋ホールディングスは植物工場事業から撤退。パナソニックは2013年からトマトの収穫ロボット開発に取り組むが、いまだに「具体的な商用化のメドは未定」(広報担当者)。そのほか、ひっそりと事業から撤退した企業も少なくないとみられる。
なぜ、大手のスマート農業は不振が続くのか。JA(農協)グループのある幹部は、「大手の設計思想が農業現場のニーズとずれているからだ」と言い捨てる。
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