国はコメ以外への転作を勧めるが、転作の交付金厳格化で農家は悲鳴をあげる。
8月に入り、スーパーマーケットの店頭には早くも今年の新米が並び始めた。九州や四国で生産される早期米の価格は、その年の米価の先行指標ともいわれるが、今年は昨年よりも安くなりそうだ。あらゆる食品の価格が高騰する中、コメの安値は際立つ。
宮崎県では、早期米として「コシヒカリ」などの新米の出荷が始まっているが、JA(農業協同組合)宮崎中央会の担当者は苦しい現状を語る。「(JAから買い取ったコメを卸業者に売る)JA経済連の買い取り価格は、昨年に比べて60キログラム当たり300円ほど安い。価格下落はこれで3年連続だ」。
米価の暴落が止まらない
肥料価格や光熱費の上昇でコメの生産コストが上がる中、JAは何とか農家の手取り額が下がらないようにと努力するが、今年はそれも難しい。「無理をして価格を維持すると、売れずに在庫が積み上がって最終的には投げ売りをすることになり、悪循環。八方ふさがりだ」(前出の担当者)。
全国的に見ても、米価の暴落はここ数年止まらない。コメの流通が自由化された今、価格は市況に応じて変わるが、出荷業者と卸売業者との間で決まる「相対取引価格」の平均は、2021年産米で前年比60キログラム当たり1678円も下がり、1万2851円となった。店頭では、とくに在庫がだぶついた栃木県産など北関東のコメの価格下落が顕著で、5キログラムで1500円台やそれ以下の特売品も登場した。
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