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大量閉店のすかいらーく「山手線内値上げ」の勝算 年間インフレ影響は123億円、戦略に迷走感も

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今年初めには低価格品を拡充させたが、短期間で値上げに踏み切ることになった。

ガストの店舗外観
7月の値上げで、8月の客単価は2019年比で伸長(写真:記者撮影)

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すかいらーくホールディングス(HD)は8月12日、主力の「ガスト」の不採算店を中心に今年末から来年にかけ約100店を閉鎖すると発表した。

新型コロナウイルスの蔓延が始まった2020年にも178店と大量閉店に踏み切った同社だが、再び大規模な止血を迫られている。

背景の1つにあるのが、急激な原材料価格の高騰だ。2022年1〜6月期の決算では、売上高が前年同期比11.8%増の1415億円だったのに対し、営業損益は、前上期の4.5億円の黒字から一転、24億円の赤字に沈んだ。

期初時点ですでに、食材費や人件費、光熱費などの高騰分を含めて通期で78億円分のインフレ影響を想定していた。ところが、ウクライナ危機や上海のロックダウンなどによりその影響は当初の会社想定を超え、123億円(うち、食材高騰分が63億円)にまで引き上げた。

原材料価格の高騰に悩まされるのはほかの外食チェーンも同様だが、すかいらーくHDの苦境は著しい。

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