あらゆる作物を作るのに用いる化学肥料が暴騰している。震源地は、主な原料を輸入していた中国だ。
作物を作るのに必要な化学肥料が、かつてない危機に瀕している。
北海道岩見沢市でコメや麦、大豆などを作る中田ファームの中田圭祐さんは、現状をこう語る。「去年の10月ごろにはすでに、(肥料の原料の1つである)尿素が不足して大変なことになるといわれていた。その後、商社から『肥料のブツそのものがない。売ることができない』と言われた農家もある。異常事態だ」。
中田ファームのある北海道で肥料販売の元締となるのは道内の農協の連合会であるホクレン農業協同組合連合会だが、同会は6月1日に2022年度の肥料価格を前年度比で平均78.5%値上げすると発表した。
中田ファームが購入する肥料の場合、これまで20キログラム当たり約3000円だったのが、6月以降には約5000円になった。「ここまでの値上がりは、これまで経験したことがない」(中田さん)。肥料代が上がったとて、需給で買い取り価格が決まる農産物にその分を価格転嫁できるわけではない。結果、多くの肥料を使う野菜などを栽培する農家の中には、採算が合わずに作るのをやめてしまうところも出始めている。
中国で急激に高まる穀物需要
なぜここまでの価格高騰が起きているのか。最大の原因は、日本が肥料原料の輸入先として頼ってきた中国で穀物需要が急激に高まったことがある。
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