飲料、24年ぶり値上げも「脱安売り」の厳しい現実 国内は収益悪化、海外事業との差は広がる一方

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一斉値上げに踏み切るも残る不安。海外市場との差は広がる一方だ。

缶ビールの売り場
ビール類は約14年ぶりに値上げ、数量減少加速のおそれも(写真:記者撮影)

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「デフレの象徴」とみられてきた酒類・飲料業界で、我慢の限界とばかりに値上げラッシュの秋が来た。ペットボトルやアルミ缶といった容器の原材料高などを理由に、10月に一斉値上げが実施される。家庭向けでは酒類の主役であるビールが約14年ぶり、小型ペットボトル飲料に至っては約24年ぶりの値上げとなる。

長年、値上げがなかなか行われていなかった背景について、アサヒビールの塩澤賢一社長は、「お酒は嗜好品で、どうしても飲まなければいけないものではない」とその難しさを語る。

これは飲料にも通ずることだ。飲料では、メーカーが目安として設定する希望小売価格で300円台の大型ペットボトルが100円台で販売されるなど、業界全体で安売りが常態化している。

「これを逃せば次はない」

足元ではあらゆる製品が値上げラッシュとなっていることから、酒類・飲料メーカー幹部は「消費者にも値上げムードへの慣れのようなものがある。これを逃せば次はない」と異口同音に話し、安売り脱却の好機にしたいもようだ。

とはいえ、話はそう簡単ではない。2019年、飲料業界では物流費の高騰を理由に、大型ペットボトルの値上げを断行したが、その後の競争環境激化によって、一度値上がりした価格が再度下がった過去があるためだ。

今回も同様の不安がある。5月に大型ペットボトルの値上げで先行した業界首位のコカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングスが10円程度の値上げ幅とみられる一方、2位のサントリー食品インターナショナルは20円の値上げを基本とするなど、値上げの踏み込み具合に差が見られる。

8月に行われたコカ・コーラBJHの決算説明会では、アナリストから「同じ轍を踏むのではないか」と懸念する声も聞かれた。

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