ビールの長期的な市場縮小が続くことから、目をつけたヘルスサイエンス事業。投資家は具体的な成果を求めている。
「新規事業を検討していると思うが、株主として期待していいものかわからない」
3月30日、都内で開かれたキリンホールディングス(HD)の株主総会では、株主から会社の行く先を懸念する声が上がった。市場縮小が長期的に続くビール事業を補うものとして、2019年に磯崎功典・キリンHD社長が立ち上げた「ヘルスサイエンス」事業。その実態の曖昧さや、利益貢献の遅さを不安視する株主は少なくないはずだ。
ヘルスサイエンス事業の看板商品は、独自素材を用いた飲料やサプリメント。キリンが現在手がけている普通の酒類や飲料、医薬品とは別個に展開していく。
事業の主体は、飲料事業各社や持分法適用会社のファンケルなど、複数にまたがる。柱となるのは、子会社の協和発酵バイオだ。2021年の売上高は530億円と、ヘルスサイエンス事業で売り上げの半分を占める。アミノ酸事業を強みとし、医薬品原料や健康食品の販売を行う。
中核商品は「プラズマ乳酸菌」
磯崎社長が主なターゲット市場と定めるのは海外、とくに北米だ。医療費が高くサプリメントで健康を保とうとする消費者が多いため、成長市場とみる。それを支える素材は現在、増産体制を整えるための投資が先行している。利益貢献が形となるのは、あと数年先になりそうだ。
「われわれとしては次の将来に向けた新しい成長ドライブで、ヘルスサイエンス領域には大変期待している」。株主総会で磯崎社長は理解を求めた。
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