ウクライナ危機、歴史的円安、相次ぐ異常気象…。この秋、輸入依存の日本に押し寄せるのは終わりの見えない食料インフレの連鎖だ。「金を出せば買える」はいつまで続くか?日本の「食と農業」は岐路に立たされている。
「さまざまな値上げ要因がいっぺんに襲いかかり、万事休すとなった」
今年5月、ローソンの看板商品「からあげクン」が値上がりした。1986年4月の発売以来、200円(税抜き)を死守してきたが、ついに220円に改定せざるをえなくなったのだ。
値上げを決めた会議の場で、担当役員の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。商品本部の植田啓太部長は「36年間、守り続けた価格を上げるのはわれわれの努力不足と言われそうで、商品本部としても抵抗した」と話す。
あらゆるコストが値上がり
からあげクンは外部委託工場で製造・冷凍したものを店舗で揚げ直し、包材に包んで什器に並べる。その過程のあらゆるコストが値上がりしているのだ。
衣に使う小麦粉や鶏肉は国産だが、輸入小麦との価格連動や餌代上昇を受けて高騰。油、調味料のほか、包材、光熱費、輸送費、人件費にもコスト上昇の波が押し寄せた。
こうした原料高騰は過去に何度かあり、そのたびに製造工場と価格を協議した。「これまでは扱う店舗やフレーバーを増やして販売数量を拡大し、価格を据え置いてきた」(植田部長)。工場から店舗へ商品を運ぶ際に使う袋の印刷を3色刷りから2色刷りに変え、サイズも小さくする、といった涙ぐましいコスト削減を重ねて難局を切り抜けてきた。