これまでOBと一定の距離を置いてきた魚谷社長が、歩み寄りを見せた。姿勢の変化の裏にどんな思惑があるのか。
6月上旬、横浜・みなとみらいにある資生堂の研究開発拠点、「資生堂グローバルイノベーションセンター」の一室。同社の魚谷雅彦社長は、1人の個人株主と向き合っていた。
およそ2時間半にわたった会談には、資生堂ジャパンの社長を務める直川紀夫氏と、資生堂の広報担当役員も同席した。この個人株主は、2000年代まで資生堂の執行役員専務取締役を務めた人物。株主総会で経営陣に厳しい質問を投げるなど、現役社員やOBの間では「ご意見番」として一目置かれている存在だ。
資生堂にはかつて、常務取締役以上で退職したOBらが名を連ねる「顧問会」が存在した。3カ月に1回ほど、取締役会の決定事項などについて経営陣と意見交換をしていた。
しかし魚谷氏が2014年に同社初の外部出身社長として就任以降、OBと経営陣の対話は「ほとんどなくなった」(資生堂の元役員)。社内の役職経験者が退任後、顧問や相談役に一定期間就任できる制度自体も、2017年に廃止された。
OBと距離を置き、独自路線を貫いてきた魚谷氏だが、今回の会談は同氏自ら持ちかけたものだったという。姿勢の変化の裏に、いったいどんな思惑があるのか。
きっかけとなった株主総会での一幕
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