「マスマーケティングの大成功会社」だった花王が挑んだ新境地。この成功体験を、ほかの化粧品でも横展開できるのか。
化粧品大不況が始まって早2年。訪日客は戻らないままマスクの着用も長期化し、いまだ試練の出口は見えてこない。
影響をとくに受けたのがリップだ。イギリスの調査会社、ユーロモニターによると、2021年のリップやグロスなどの国内市場規模は514億円。1463億円だった2019年から、6割超も縮小した。
そんな逆風下で、爆売れしているリップがある。花王傘下のカネボウ化粧品が展開する、KATE(ケイト)の「リップモンスター」だ。2021年5月の発売以降、ドラッグストアを中心に爆発的なヒットとなり、品切れが続出している。
SNS拡散を狙い周到な仕掛け
1本あたりの値段は1540円(税込)。同じような中~低価格帯のリップ市場では、シェア10%を取れればトップとなる。
リップモンスターを手がけた花王の岩田有弘ブランドマネージャーによれば、インテージのSRI(全国小売店パネル調査)を基にした2022年1~3月のシェアは30%超(百貨店を除く)で推移しているという。販売本数は1年足らずで300万本を突破し、「想定外の売れ行きで生産も追い付かなかった」(岩田氏)。
「マスクに色移りしにくい」という機能性が評価された面はあるものの、コロナ禍では他ブランドも同様の機能を備えたリップを多数発売している。キャンメイクやセザンヌ、ちふれ、メイベリンなどの手ごわい競合を差し置いて、なぜ前代未聞のヒットとなったのか。そのカギは、花王がSNS戦略でリップモンスターに施した2つの仕掛けにある。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
東洋経済ID 会員特典
東洋経済IDにご登録いただくと、無料会員限定記事を閲覧できるほか、記事のブックマークや著者フォロー機能、キャンペーン応募などの会員限定機能や特典をご利用いただけます。
東洋経済IDについての詳細はこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら