代官山とは違う!函館の巨大な「蔦屋書店」の全貌 今後のカギを握っているのは1号店ではない

✎ 1〜 ✎ 13 ✎ 14 ✎ 15 ✎ 最新
拡大
縮小

CCCの今後を占う試金石は、北海道の函館にある巨大店舗だ。

北海道函館市にある「函館 蔦屋書店」。代官山の店舗とは異なる光景が広がる(記者撮影)

特集「図解!マーケティング最前線」の他の記事を読む

出版不況の中、革命児の勢いが止まらない。

「TSUTAYA」などを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は2020年、国内書籍・雑誌販売額が1427億円と、過去最高を更新した。

紙の出版全体の市場規模(推定販売金額)は16年連続で縮小し、2020年は1兆2237億円とピーク時の半分にも満たない。一方、CCCの販売額は20年足らずで約4倍に成長。今や丸善CHIホールディングスや紀伊國屋などをしのぎ、書店最大手に躍り出ている。

CCCの書店展開において、TSUTAYA以上に存在感を示すのが「蔦屋書店」だ。TSUTAYAが販売やレンタルで取り扱ってきた書籍やDVD、CDなどに加えて、深夜まで営業しているラウンジやカフェチェーンの「スターバックス」、旅行代理店のカウンターなどを兼ね備えた複合施設である。

2021年9月時点で、同業態は北海道から九州まで、国内に19店を構える。これを目標として掲げる100店まで拡大するうえで、店舗の雛型となっているのが、2021年12月に開業10周年を迎える1号店の「代官山 蔦屋書店」(東京都渋谷区)だ。

代官山の店舗は、敷地内で植物を豊富に配置するなど、自然と融合した居心地のよい作りとなっている。そこで並んでいるのが、文学や音楽、料理、旅、車などさまざまな分野への造詣が深い「コンシェルジュ」が選別した本の数々だ。

1日当たりの通行量が約1500人だった立地において、開業後にはコロナ前の平日で約1万人が押し寄せる地域の目玉施設になった。

しかし、CCCの蔦屋書店カンパニーで社長を務める梅谷知宏氏が、今後の蔦屋書店の店舗戦略で重視するのは、意外にもこの代官山の店舗ではない。

次ページまるでショッピングモール
関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
図解!マーケティング最前線
檸檬堂をヒットさせた「戦略家」の周到な段取り
アルコール後発、先駆者と同じことはやらない
TikTokが「ヒットの導火線」、音楽業界の劇的変化
若者ユーザーが自ら参加するバズマーケの正体
アニメ「鬼滅」旋風の裏にあった緻密すぎる戦術
異次元ヒット作が押さえた4つのポイント
初心者でもわかる閲覧データ「クッキー」の大疑問
広告業界が揺れる利用禁止の大きすぎる影響度
グーグル責任者が明かす「脱クッキー」広告の正体
個々人を特定せずともターゲティングを実現
電通も期待「テレビ広告」復活への斬新な切り札
視聴率とスマホの行動履歴をつなげる新手法
トヨタ「ライズ」がSUVブーム牽引する納得理由
コスパの裏で光る開発担当・ダイハツの貢献度
マック快進撃の裏にある「CM」の何気ない仕掛け
お得感だけでなく会話の懸け橋として価値訴求
大丸松坂屋が「服のサブスク」始める納得の理由
百貨店大手で初参入、ブランド品で図る差別化
モス「女性狙い」で絶好調の裏にある王道の戦略
限定商品が大当たり、食パン参入にも狙いアリ
「ファミチキ越えの問題児」が爆売れした3大要因
ファミマで品薄の「クリスピーチキン」誕生秘話
アサヒ「生ジョッキ缶」が売れに売れた3つの勝因
注文は想定の3倍、生産が追いつかず出荷停止
ルルレモン「お高めヨガ着」でも支持される神髄
コロナ禍で10%成長、コミュニティから稼ぐ底力
代官山とは違う!函館の巨大な「蔦屋書店」の全貌
今後のカギを握っているのは1号店ではない
ユニチャームのネコ餌「吐き戻し減」で飛躍の神髄
後発者優位を利用、緻密な調査生かし商品開発
「鬼滅と東リベ」全く異なるアニメと主題歌の関係
特性から見える楽曲マーケティングの新機軸
高いのに宅配で爆売れ「ヤクルト1000」開発の裏側
店頭用の商品もスーパーやコンビニで品薄続く
エアウィーヴの急成長支えた「五輪マーケ」の神髄
五輪トレーナーに飛び込み営業、今秋に上場も
ジェラートピケ「1万円の部屋着」売りさばく神髄
家でもハッピーに、ライブコマースを積極活用
花王の「爆売れリップ」を生み出した2つの仕掛け
「マス戦略脱却」結実しドラッグで品切れ続出
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内