ビルボード・ジャパンなどが始めた、番組露出と楽曲ヒットの関係性を分析するサービス。改めてテレビを生かす方向性が見えてきた。
テレビと音楽の深い関係を解き明かせるか。
複合ヒットチャートを発表するビルボード・ジャパン(運営:阪神コンテンツリンク)や視聴率の調査を行うビデオリサーチなどは10月、新サービス「CHART insight Plus」を始めた。どの番組の露出がチャートに貢献したかがわかるサービスだ。
CHART insight Plusでは、チャートインしている楽曲がどの時期にどの番組に露出し、番組平均視聴率がどうだったかを時系列で確認できる。F1(20~34歳の女性)やM1(20~34歳の男性)など、世代別の視聴率との関係も分析できる。また、ダウンロードやストリーミング、CDセールス、SNSなど、ビルボードの各指標が、どの番組をきっかけに動いたかを分析できる。
レコード会社やアーティストはチャート上昇に貢献しているテレビ番組を探し、どんな番組に露出してプロモーションするか計画を立てられる。テレビ局側も番組がどれだけ音楽ヒットに影響力を持つか測定でき、作品、音楽とも長く話題になり続けるタイアップを組むことが可能になるわけだ。
特性が際立つ大人気アニメの主題歌
人気作品の主題歌などタイアップを獲得し、アーティストは情報・バラエティ番組などに出演。発売日までに大きな話題を作り出す――。これまで音楽業界は新曲のリリースに際して、テレビを活用した積極的なプロモーションを行ってきた。しかし、その実態はレコード会社やアーティスト事務所、広告会社の経験則によるもの。「あるアーティストがテレビにこのように露出して話題を呼び、ヒットにつながった」という事例はあっても、成功の要因を裏付けるデータは少なかったのだ。
昨今はストリーミングをはじめ、YouTube、SNSなどネットを介して音楽やアーティストに出会うことが当たり前の時代。ヒットの経路はCD時代よりも複雑化し、楽曲プロモーションも一段と高い精度が求められるようになっている。実際、CHART insight Plusであらゆる指標のデータと視聴率を結びつけると、ヒット曲とテレビの関係が浮かび上がってくる。
ここではアニメ主題歌を例に分析していきたい。「呪術廻戦」の主題歌であるEveの「廻廻奇譚」(2020年10月にアニメ放送と同時に配信リリース)と「鬼滅の刃」の主題歌であるLiSAの「紅蓮華」(2019年4月配信リリース)、「東京リベンジャーズ」の主題歌であるOfficial髭男dismの「Cry Baby」(2021年5月に配信リリース、アニメは4月から放送)だ。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
無料会員登録はこちら
ログインはこちら