中価格帯から最高級ブランドまで値引きやポイント還元が相次ぐ資生堂。「焦り」の背景は。
マスク着用や在宅勤務の定着、インバウンド需要の蒸発で化粧品業界は「冬の時代」のまっただ中にある。この逆風下をどのように乗り越えていくのか、化粧品メーカーの販売戦略は大きく分かれはじめている。
安売り路線に舵を切っているのが化粧品メーカー最大手の資生堂だ。2021年末~2022年始めにかけて大手ドラッグストアチェーンのスギ薬局では、資生堂の中価格帯主力ブランドの「エリクシール」が2本購入で4割引きとなっていた。
「ドラッグ大手がここまで大幅な値引きをすることは珍しい」。ドラッグストア営業を担当する資生堂の社員はこう打ち明ける。
最高級ブランドをイオンでポイント還元
自社EC(ネット通販)サイトでも資生堂は大盤振る舞いだった。昨年末に購入額の10%をポイント還元する「化粧品デー」を開催。敏感肌向けのスキンケア「dプログラム」の商品を買った人に、オリジナルタオルと洗顔で髪を濡らさないようにするヘアバンドのおまけもつけた。
「コロナ収束を見すえて愛用者の基盤を充実しないといけない」。2021年11月に開催された決算会見の場で、資生堂の直川紀夫常務は、値引きやサンプル配布の意図をこう説明していた。たしかに中価格帯商品のエリクシールやdプログラムであれば、値引き販売は愛用者数の拡大に有効だろう。
しかし、ブランド品である高価格帯になると話は別だ。決算会見での直川常務の説明から約2週間後、イオンのECサイト「イオンスタイル」では、資生堂の最高級スキンケアブランド「クレ・ド・ポー ボーテ」の商品が15%のポイント還元で販売されていた。
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