資生堂やコーセーなど、中国での販売を強化する日本の化粧品メーカーは、思い描いたような利益を上げられていない。何が明暗を分けているのか。
2022年の正月明け早々、化粧品メーカーのアクシージア(東京・新宿区)で営業を統括する張輝常務は、上海子会社からの情報収集に追われていた。中国最大のECサイト「天猫(Tモール)」向けに商品を保管している現地の倉庫が1月4日、新型コロナの影響で出荷停止になってしまったからだ。
「回復するまで待つべきか」――。上海子会社の武君社長と協議を行った張常務は翌5日午後、天猫向けの広告予算を、販売機能を備えた動画プラットフォーム「抖音(中国本土版TikTok)」に振り向けるよう指示した。
結果的に、天猫の倉庫が復旧したのは10日だった。その間の売り上げロスは、広告を重点的に投下したTikTokでの販売で一定程度を補った。
コロナ禍でも過去最高益予想
広大な国土でサプライチェーンにおける不測事態が常日頃発生し、当局の規制もたびたび変更される中国。めまぐるしい情勢の変化に、四苦八苦する日本企業も珍しくない。
アクシージアの段卓社長は「中国と国内のトップは毎週2~3回テレビ会議を行い、対話アプリの微信(ウィーチャット)で24時間連絡を取り合っている。会議などで決めた戦略はすぐに実行している」と、現地動向に即した対応の徹底ぶりを強調する。
2021年に東証マザーズに上場したアクシージアは、日本製のスキンケア商品と美容サプリが主力だ。以前、同社の売上高の2割弱はインバウンドによるものだった。コロナ禍で中国本土のEC(ネット通販)強化へと舵を切り、インバウンドの消失分を吸収するどころか、業績をさらに伸ばしている。
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