かつて社長自らが「おむつ界のエルメス」とも豪語したメリーズが、中国で苦境に立たされている。強気価格でも好調なムーニーと何が明暗を分けたのか。

超強気の価格設定でも売れる「ムーニー」(左画像:京東のユニ・チャーム旗艦店より)。一方の「メリーズ」は転売業者らによる投げ売りの余波で苦境が続く(右写真:尾形文繁撮影)
「おむつ界のエルメス」――。
インバウンド全盛期の2010年代半ば、メイド・イン・ジャパンの紙おむつは中国人らに圧倒的な人気を誇った。当時、花王の澤田道隆社長(現会長)は自社の子ども用紙おむつ「メリーズ」について、フランスの高級ブランドを引き合いに出して冒頭のように評したことがある。
コロナ禍でインバウンドバブルが完全にはじけた今、おむつ業界は苦境に立たされている。イギリスの市場調査会社・ユーロモニターによると、2021年の子ども用紙おむつの国内市場規模は1544億円と、コロナ前の2019年から14%縮小した。
少子化が進む国内需要だけで売り上げを拡大させるのは至難の業。日本メーカーが成長を続けるには、インバウンドを支えていた中国を中心とする海外市場の開拓が欠かせない。
しかしその中国で、消費者のブランド嗜好が変わり始めている。かつて“爆買い”の対象だったメリーズが苦戦を強いられ、現地で生産された日本ブランドのおむつが存在感を増しているのだ。
薄れた「日本製」信仰
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