ビール業界で大手各社の値上げ発表が相次いでいる。好調な販売が続く中、あえて先陣を切ったアサヒビール。その真意を塩澤賢一社長に聞いた。
大きなきっかけがないと値上げしづらい
――14年前はキリンビールの発表に追随する形でしたが、今回はアサヒが最初に値上げを発表しました。逡巡はありませんでしたか。
すでにキリンさんなど競合他社も値上げを発表しているが、もしかするとやらない可能性もあった。そういう意味では、私たちが最初に値上げをすると言ったのでリスクがあったことは事実だ。
値上げ実施の有無や、どれくらいの値上げ幅で行うかなど、他社の動きは開けてみないとわからない。いろいろなシミュレーションをしたが、それでもやはり、この機にやらなければいけないという判断をした。
今の状態で原材料や資材の高騰が進めば、(事業が)成り立たないところまで来ているのではと思っている。一方で将来に向けてどんどん新しい投資を打つためには、一定の利益を上げなければいけない。値上げで販売数量が一時的に下がることがあったとしても、そこは割り切りが必要だ。
――これまでビール業界はコスト高があっても、長年にわたり値上げに踏み切れずにきました。
価格戦略は一つ間違えると、その商品を殺してしまう可能性もある。
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