2008年以来の高値に引き上げられる、輸入小麦の政府売り渡し価格。小麦大国ロシアのウクライナ侵攻の余波もあり、値上げは今回で終わりそうもない。
食卓への打撃は、はたしてどこまで広まるのか。
3月9日、農林水産省は輸入小麦の政府売り渡し価格を4月から平均17.3%引き上げると発表した。引き上げ率は、直近6カ月間の価格と比較したもの。指標となる小麦5銘柄の加重平均価格は1トン当たり7万2530円と、2008年10月の価格改定時の7万6030円に次ぐ高値になる。
ウクライナ危機の本格影響は先
小麦は国内需要の約9割を海外から輸入しており、これら外国産小麦は政府が国家貿易により計画的に輸入している。毎年500万トン弱輸入される小麦のほとんどは、製粉会社などに売り渡される。その売り渡し価格はシカゴ商品取引所などの小麦市況を反映し、毎年4月と10月の年2回見直される仕組みとなっている。
パンや即席麺をはじめ、日常的に消費される食品の多くが小麦を主原料とする。「前回の価格改定を受けた値上げを発表したばかり。まだ今回の対応方針についてコメントできるレベルにない」。2021年10月に続く輸入小麦の大幅値上げに、製パン会社や大手食品メーカーは一様にそう話し戸惑いを隠さない。
さらに業界関係者が恐れているのが、小麦の値上げは今回で終わりそうにないということだ。
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