あらゆる種類の紙で値上げが行われている。目下、焦点となっているのは印刷用紙をめぐる王子ホールディングスの動きだ。
ティッシュ、トイレットペーパー、印刷用紙、段ボール――。製紙会社があらゆる種類の紙の値上げに動いている。
1月11日、家庭紙首位で「エリエール」ブランドを展開する大王製紙が3月下旬出荷分から15%以上の値上げ(対象は家庭紙製品全品)を発表。続いて1月20日には、家庭紙2位「クリネックス」「スコッティ」ブランドを持つ日本製紙も4月出荷分からの10%以上の値上げを打ち出した。いずれも原燃料や物流コストの上昇などをその理由に挙げている。
いち早く値上げを決めた大王製紙は「食料品や日用品の多くが値上げをしているので、(卸先に)ある程度理解されている」と話す。製紙メーカーの中で今のところ値上げを表明しているのは2社だけ。家庭紙3位で「ネピア」を持つ王子ホールディングス(HD)は動いていない。
印刷用紙は一斉値上げへ
一方、印刷用紙は一斉値上げの様相を呈している。
口火を切ったのは製紙業界2位の日本製紙だ。昨年11月、2022年3月期の業績予想の下方修正を発表する前日、自助努力で再生産可能な収益を確保するのは困難だとして、「2022年1月出荷分から印刷用紙や情報用紙を15%以上値上げする」と表明した。
すると、4位の大王製紙、6位で王子HDの持ち分会社の三菱製紙が間髪入れずに追随し、12月に入ると5位の北越コーポレーションも印刷用紙の値上げを発表。値上げ理由は原燃料価格や物流費、人件費上昇、温暖化ガス対策費用など共通する。
製紙業界は原燃料高に苦しんでいる。日本製紙の2021年度第3四半期(4~12月)は、紙・板紙事業が22億円の営業赤字(前年同期は1.7億円の営業赤字)。パルプや重油、石炭、薬品など原燃料価格の上昇と物流費高騰が響いた。三菱製紙も2021年度第3四半期の紙・パルプ事業は23億円の営業赤字。同社は40歳以上対象に60人の希望退職者募集を決めた。
値上げを表明した各社は、印刷用紙の値上げについて2022年1月出荷分をもくろんでいたが、2月に入っても「値上げを理解していただくよう(取引先)にお願いしている」という。予定通り進んでいない一因に、業界関係者は「値上げを表明していない会社もあるから」と口をそろえる。2月23日時点で印刷用紙の値上げを公表していないのは、業界トップの王子HDだ。
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