高速バスの収入10%増!「値付けテック」の正体 交通業界で動き出す、「変動料金」の導入論議

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ダイナミックプライシングへの企業の関心が強まるなか、2015年創業の値付けベンチャー、ハルモニアの存在感が高まっている。

料金設定を効率化する「マジックプライス」を導入した京王電鉄バス。写真は同社の高速バス(記者撮影)

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新幹線、テーマパーク、高速道路まで――。いま、各産業でにわかに「変動料金制(ダイナミックプライシング)」への注目度が高まっている。

JR各社は10月5日、2022年4月から、新幹線や一部の特急列車において指定席特急料金を改定すると発表した。ゴールデンウィークやお盆を「最繁忙期」とし、従来の繁忙期運賃よりも高めの料金を設定。長期休暇時の混雑緩和を図ろうとしている。JRのみならず、東京ディズニーランド・シーを運営するオリエンタルランドも、2021年3月に混雑度に応じた入園チケットの変動料金制を導入した。

交通需要の偏在には、政府も問題視している。2021年8月4日に国交省が公表した、有料道路に関する有識者会議の中間答申には「交通需要の偏在などによる混雑の緩和へ、特定の時間帯や経路における料金割引・割り増しを、本格的に導入すべき」と明記された。交通・レジャーなどの産業を中心に、ダイナミックプライシングの導入の議論は深まるばかりだ。

ダイナミックプライシングは、すでに航空やホテル業界で普及している。飛行機の座席やホテルの客室は、便や日にちによって空き具合が異なるため、購入時期や想定客層に応じた単価設定が欠かせない。例えば日本航空(JAL)では、2019年までに800億円を投じて、単価設定の関連システムを刷新した。航空業界では「値付け力」が、安全・衛生やサービス水準に匹敵する重要事項といえる。

うまく「値付け」ができないホテル業界

その一方で航空業界ほどダイナミックプライシングをうまく活用できていないのが、ホテル業界だ。1990年代から普及はしていたものの、実際には旅行代理店が料金設定を担うケースが多かった。ここ数年、自社サイトを通じた直販ができるようになったことで、自ら料金を設定しなければならなくなった、というホテルや旅館も少なくない。

ホテル業界ですら、ノウハウ不足のダイナミックプライシング。業種を超えた引き合いが強まる中で、存在感が高まっているのが2015年創業の値付けベンチャー、ハルモニアだ。

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