2021年春から上昇を続ける企業物価指数。これからの物価動向をどうみるべきなのか。野村証券の美和卓チーフエコノミストに聞いた。
前年同月比で9%増――。2021年11月の「企業物価指数」は第2次オイルショックの影響で上がった1980年以来の上昇幅を記録した。
以前は「卸売物価指数」と呼ばれ、企業間で取引される商品を対象とした企業物価指数は、2021年春から上昇を続けている。末端の消費者物価を見ても、ガソリンなど燃料だけでなく、食品や生活資材などで値上げラッシュが始まっている。
長年にわたる日本の低インフレは変化するのか。これからの物価動向をどうみるべきなのか。
8つの点について野村証券の美和卓チーフエコノミストに聞いた。
Q1 消費者物価指数はどこまで上がるのか?
企業物価指数ほどではなくマイルドだが、消費者物価指数(CPI)も今後上昇するのは間違いない。
野村証券の予測では、生鮮食品を除いたコアCPIは足元の2021年10〜12月期に前年同期比0.4%で、ここからおおむねトントン拍子に上がり、2022年7〜9月期に1.3%のピークをつける見通しだ。
CPI上昇の要因は、大きく2つ。エネルギーと食品だ。
細かく見ていくと、新型コロナウイルスのオミクロンショックで原油価格が調整局面に入ったため、ガソリン価格の上昇はすでにピークアウトしている。その代わり、燃料費調整制度によって価格変動に遅効性のある電力料金が、これから上がる。
ただ、電力料金も2022年初頭には天井をつける。これと入れ替わるようにコアCPIの上昇を牽引するのが、食品(生鮮やアルコール飲料除く)だ。2022年7〜9月期の山に向けて、現在の値上げラッシュが効いてくる。
Q2 物価の上昇を抑制する要因は?
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