グローバルエリートの長期にわたるネグレクトが民主主義を殺す/世界に広がる大衆のエリート不信


中間層は長きにわたって民主主義の安定を支える背骨であり続けてきた。だが、ここ数十年は西側の各国で崩壊が進むようになっている。もはや努力は報われず、出世もかなわず、世の中を支配する「エリート」は庶民を顧みない存在になったという考えが市民の多くに広がっている。
フランスから英国、米国のラストベルト(さびついた工業地帯)に至るまで、見られる症状は変わらない。かつては地域を支えていた産業が打ちのめされ、生計はテクノロジーの変化によって壊され、働いて得られる見返りは小さくなるばかり。フランスでは稼ぎが支出に届かない中間層世帯が2割に上る。米国の平均賃金は購買力で見た場合、2018年の段階で40年前とほとんど変わっていなかったという調査結果もある。
無力感と憂鬱が崩壊へ
中間層の没落を示す経済データの裏には、現実の地域社会に暮らす、現実の世帯が存在することを忘れてはならない。フランスでは、富、教育、機会のすべてが一握りの大都市に集中し、地方の小都市をはじめとするそれ以外の地域では、生活水準の低下と政治的な怒りが一段と際立つようになっている。そうした地域には、かつては産業の集積地だった場所も含まれる。状況は米国も同じだ。
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