本格再開に向け光が見えてきたインバウンド業界。ただ、以前のような賑わいを取り戻すには、入国数の上限以外にも大きなハードルがある。
2年以上の空白を経て、ようやく訪日観光客が戻ってくる。
「6月10日から、添乗員付きのパッケージツアーでの観光客の受け入れを再開する」。5月26日、岸田文雄首相は外国人観光客の新規入国を再開する考えを国際交流会議の演説で示した。
1日当たりの入国者総数についても、6月1日には従前の1万人から2万人へと引き上げた。入国時検査の実績で陽性率が低い国に関しては今後、検査を行わずに入国を認める方針だ。
メッセージは海外にも早速伝わったようだ。岸田発言のあった翌5月27日、JTBの山北栄二郎社長は「昨日の発表を受け、昨晩から海外からの問い合わせが殺到している状態。円安の影響もあり、インバウンド熱は非常に高いと実感している」と語っている。
「円安」で市場の期待も高まるが
2019年に3188万人を数えた訪日外国人旅行者。うち7割は中国、韓国、台湾、香港からの客だ。日本国内における消費額は当時、年間で4.8兆円を超え、宿泊数は1億人泊(人泊数=宿泊人数×宿泊数。2人で1泊すれば2人泊)を超えていた。インバウンドの本格再開はホテルや旅行会社、全国の観光地にとって待ちわびた朗報といえる。
為替は足元で1ドル=127円台と、大幅な円安水準にある。こうした側面からインバウンドの大復活を期待する向きもあり、すでに株式市場では、ホテルや旅行会社に対する先回り買いの動きもみられる。
ただし、再開されても、すぐに観光客が大挙してやってくることはない。
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