観光業界「まだFAX文化」のアナログすぎる実情 特有の商習慣で営業力低下、勝機はニッチ戦略

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「DXを本気で考えているところなんて、ほとんどないと思う」。業界人の本音を聞いた。

風の旅行社の原代表。取り扱いの中心であるネパール旅行は、トレッキングを楽しむツアーが多く、年中開催される祭りに関する商品もある(記者撮影)

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コロナ禍で需要の本格回復が見通せない旅行業界。手配を担う旅行会社は、小規模の事業者が多数を占めている。業界が回復していくうえでは、大規模な構造改革を打ち出す大手だけでなく、中小企業の経営改善も欠かせない。
現在、中小の旅行会社にはどういった課題があるのか。日本旅行業協会の副会長で、ネパールやモンゴルなどへの海外旅行を中心に扱ってきた風の旅行社・代表取締役の原優二氏に聞いた。

ネットでの勝負は捨てたほうがいい

――どのようにツアー商品を作っているのでしょうか。

社員はツアーを作る職人の集まりだ。モンゴル、チベット、ブータンなど地域の担当がいて、それぞれツアーを作っている。東京は16人、大阪は3人で電話やメール、Webで商品を販売している。これまでも会社としてどういう商品を作るのかと、よく議論してきた。危険度が高いものは許可がいるが、それ以外は任せている。

――業界はGo To トラベルの不正受給問題などがあり、コンプライアンス強化が求められています。業務効率化も課題ですが、中小では対応が難しいと聞きます。

コンプライアンスだけやればいい、ということはないので、小さな会社は兼務になる。社長が担当することや、番頭さんのように経理や総務などの役割の方がいるケースが多いのではないか。中小は組織になっておらず、商店のイメージだ。店主がいて、その指示で皆が動く形だろう。

うちも以前は組織的なやり方をしていた。大手の真似をして部や課を作って、組織を作ろうと一生懸命やったが、会議は多いし残業も増える。なんだこれはと(笑)。

――中小旅行会社のDX(デジタル化)は難しいのでしょうか。

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