富士通に「ジョブ型人事」が魅力的に映る根本理由 「利益率10%」の達成に向け、不可欠な事業転換

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富士通の時田隆仁社長は「従業員のリスキルにはジョブ型人事制度への移行が不可欠」と語る(撮影:尾形文繁)
国内ITの巨人、富士通がもがいている――。
富士通は従業員12万人超の国内IT最大手。だが、2022年3月には約3000人の早期退職を実施したほか、4月からは一般社員向けに「ジョブ型」の人事制度を導入(幹部社員は以前からジョブ型の対象)するなど、改革を急いでいる。
併せて、新たなスキルを従業員が学びなおす「リスキル」を進めており、顧客企業のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を進める課題解決型のコンサルティング人材などを育てようとしている。
とはいえ、これだけの大組織であるだけに、変革は容易ではない。今後の舵取りをどうするのか。時田隆仁社長に直撃した。

とくに重要なのは従業員のリスキル

――リストラや人事制度の改革が続いています。現場には混乱が多いのでは。

コロナ禍もあり、確かに現場には混乱もあったと思う。ただ、必要だと思っていたことはやれたという手応えを感じている。

今後の富士通にとって、とくに重要なのは従業員のリスキル。例えば営業職には、機器やシステムの提供にとどまらず、顧客のビジネスモデルや業務プロセスを変革するコンサル型のスタイルになってもらおうとしている。目下、その研修に力を入れているところだ。

もちろん、研修したからといってすぐ、顧客から高い評価を得られるコンサル人材になれるほど簡単な話ではない。ただ、前期からはリスキルした営業職によるコンサル型の売り上げ実績が出始めている。そうしたリスキルを支えるのが、ジョブ型人事制度への移行だ。

――ジョブ型が従業員のリスキルを支えるとは、具体的にどういうことですか。

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