NTT、「民営化以来最大」の人事改革に透ける危機感 人材確保に焦り、年功序列捨てて競争力強化へ

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2023年4月から、グループ主要会社の一般社員向け人事制度を刷新する。歴史的な転換により、30万人超の巨艦は変われるのか。

“お役所体質”が染みついたままだったNTT。ここに来て社員の評価基準や給与体系を抜本的に見直す背景に、どんな危機感があるのか(編集部撮影)

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「1985年の民営化以来となる大改革であり、NTTが真のIT企業になるための仕掛けだ」

約14万人が加盟する、NTT労働組合の柴田謙司事務局長はそう語る。30万人超の従業員を抱えるNTTグループで今、社員らの働き方を一変させる新たな制度の準備が大詰めを迎えている。

その新制度とは、NTTが目下進める人事改革の第2弾にして本丸だ。第1弾は2021年10月に行った、管理職向けのジョブ型人事制度の導入。そして2023年4月から、いよいよ一般社員を対象とした人事評価の仕組みが刷新される。

変更点は大きく分けて2つある。「脱・年功序列」と「専門性の強化」だ。NTTの総務部門長を務める山本恭子執行役員は「今までのやり方を崩して、できる人は年齢、年次に関係なく抜擢しやすくする。会社の戦略と人事をより密接に結びつけていかないと、競争には勝っていけない」と、改革の意図を説明する。

歴史的転換でも組合交渉は大波乱なし

NTT社員は新卒で入社した場合、在籍年数との兼ね合いから、どれだけ出世が早くても、30代半ばまでは管理職の入り口にあたる課長に昇進できなかった。新制度ではこうした年次などの制限をなくし、能力があれば20代でも課長に抜擢できる設計とする。

さらに社員の専門性を高めるため、「事務」「技術」「研究」の3つしかなかった職種の区分を、マーケティングや財務、スマートエネルギーなど18の専門分野へと拡大。昇格を判断する人事査定の項目には、新たに専門性の評価が加えられる。

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