巨艦日立が「ごった煮」の事業部門を作る理由 コングロマリットならではの強み発揮できるか
事業ポートフォリオ改革を進める日立製作所。2022年4月に設立した大型セクターには、ビルシステムや家電、産業機器などの事業が入り、ごった煮の様相を呈する。どのようにシナジーを生み出すのか。
年間売上高約10兆円を誇る日立製作所が、新局面を迎えている。2009年に22社あった上場子会社を次々と売却・統合。現在は最後に残った日立金属の売却手続きが進んでおり、これが完了すれば日立の事業ポートフォリオ改革には一定の区切りがつく。
小島啓二社長は2021年末のインタビューで「10年にわたる基礎工事は完了した」と語り、今後は次の成長を実現できる体制が必要との見方を示した。
2022年4月には2024年度までの中期経営計画を発表。IoT基盤「ルマーダ」を中心として、市場成長が見込めるグリーンとデジタルに関連する事業を育成する方針を掲げた。スイスの重電大手ABBの送配電事業やアメリカのデジタルエンジニアリング企業グローバルロジックの買収はその一環であり、この流れは今後も継続する。
一方、既存事業をどうするのか。事業整理を進めたとはいえ、エネルギーや鉄道などのインフラから家電、ITまで数多くの事業を抱えるコングロマリットであることに変わりはない。「モノ言う株主」との関係に苦慮し解体論まで飛び出した東芝とも、本質的には似た問題を抱える。
ビルも家電も産業機器もひとつの部門
日立は新中計スタートにあわせ、事業部門再編に着手。上場子会社と連結子会社の日立アステモを除いて従来5つだったセクターを3つにした。その中で異色の存在が「コネクティブインダストリーズ」セクターだ。
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