円安の進行に「まったく違和感がない」3つの理由 「成熟した債権国」から「債権取り崩し国」へ
3月11日、ドル円相場は一時1ドル=117円台まで上昇し、年初来高値を更新した。
筆者はこの動きにまったく違和感がない。日本の政治・経済状況を踏まえると、「円建て資産」に投資する材料は乏しいからだ。
具体的な材料は複数挙げられるが、以下では、①成長率、②金利、③需給という論点で整理したい。
コロナ対策が招いた「低い成長率」
一般的に、為替相場の変動は成長率の強弱が通貨の強弱にリンクするほど、単純な世界ではない。
しかし、その単純な世界が少なくとも過去1年のG7(主要先進7カ国)通貨の世界では成立していた(下図)。
欧米ではアフターコロナを見据えて2021年春から行動制限を完全に解除し、2020年の遅れを取り戻すように、2021年には潜在成長率の2~3倍のペースで走り抜けてきた。一方、日本はつねに新規感染者数の水準に拘泥し、何らかの行動規制をしながら歩んできた。この違いが成長率の違い(=通貨の強弱)につながった格好だ。
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