円安の進行に「まったく違和感がない」3つの理由 「成熟した債権国」から「債権取り崩し国」へ

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そうなればアメリカの金利は低下に転じて「ドル売り・円買い」が優勢になるかもしれない。また、すでにアメリカの経常赤字は金融バブル絶頂だった2006年当時に匹敵するほど膨らんでいる。これを「ドル安要因」として指摘する向きもある。

だが、ドル安が円高に直結すると当然のようにみるべきではない。

過去1年間を見ると、「ドル安でも円安」というシーンは何度もあった(上グラフ)。ドル以前の問題として、上述した①~③のすべてで劣後感がにじみ出る円を回避しようという大きな流れがあるのではないか。現下の円安は「日本売り」というテーマなのではないかという理解である。

円にアピールポイントがない

このように、成長率、金利、需給のいずれに照らしても円はアピールポイントがない。つまり、円高に振れる要素がないのだ。

今のように、有事などの理由で金融市場全体がリスクオフ(リスク回避)局面になった場合、いずれの国も成長率や金利で差がつきにくくなるので、需給で優勢な通貨が選ばれやすくなる。これが、以前は「安全資産としての円買い」に作用していた。

しかし、その条件も崩れてきた。ウクライナ危機を受けたリスクオフムードで円が安全資産として見られる雰囲気はほとんど感じられない。厳しい話だが、需給でも評価してもらえない円は何のアピールポイントもない。単なる低成長で低金利の通貨である。

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