"濡れ手で粟"のビジネスに味を占めたアメリカでは、いくら高関税をかけても製造業は復活できない

アメリカは頭脳で稼ぐが、実際のものづくりはしないという(写真:xtrekx/PIXTA)
国内の製造業保護を名目として、各国に「関税戦争」を挑み続けるアメリカのトランプ大統領ですが、評論家の宮崎正弘氏は、「トランプの高関税による米国への製造業移転は絵に描いた餅におわるだろう」と指摘します。
そろ理由として宮崎氏が指摘する、アメリカの産業構造が抱える「歪(いびつ)さ」とはいったいなんなのでしょうか。同氏の著書『トランプ大統領VS巨大金融資本』から一部を抜粋・編集する形で解説します。
目を蔽いたくなる「ボーイングの凋落」
目を蔽いたくなる衝撃は、あのボーイングが凋落の途にあることだ。一方でエアバスは世界の航空会社が好んで選択し受注残が相当数ある。また中国の国産機が国際規格不承認なのに中国国内線に投入され、ラオスにも提供して国際線(中国−ラオス間)で飛ばしている。これもボーイングにとって脅威だろう。
あれほど信頼され、「世界の翼」と評価された筈だったが新型737MAXは連続して墜落事故を起こし、原因を究明すると、同社が技術集団を軽視し進路を誤らせた経営方針が浮上した。これは「ものづくり」を忘れた米国経済のアキレス腱である。
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