"濡れ手で粟"のビジネスに味を占めたアメリカでは、いくら高関税をかけても製造業は復活できない

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「関税は早急に結果を得ようとする短絡的発想でしかなく、タフガイのポーズは見せかけのものだ。それが何らかの形で効果的かどうかは、本当に議論の余地がある」と書いた。

結局、半導体もAIもSNSも、ほぼすべての新技術はアメリカ企業によって発明され、特許とビジネスモデルを登録し、さきんじてルールを決めた。

「ロイヤリティー収入」で稼ぐビジネスモデル

トランプ大統領VS巨大金融資本
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ロイヤリティー収入で稼ぐ。頭脳は稼働するが手足は動かさないというのがアメリカの優秀な発明家、起業家が考案したビジネスモデルである。

イーロン・マスクもビル・ゲイツも、ザッカーバーグもベゾスも生産現場の経験が殆どない。アメリカは頭脳で稼ぐが、実際のものづくり、たとえばスマホもパソコンも外国で下請けさせている。

アメリカ産業全体の衰退は、この産業構造の歪(いびつ)さにあるわけで高関税は政治的で、一時な防衛措置でしかない。

たとえば自動車産業を米国内に移転させれば関税を免れることができるが、労働の質が悪い上、最低賃金が時給17ドルでは、コスト高になる。工場の新設は3年以上かかる。

この点でトランプの高関税による米国への製造業移転は絵に描いた餅におわるだろう。

宮崎 正弘 評論家、作家

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みやざき まさひろ / Masahiro Miyazaki

1946年、石川県金沢市生まれ。早稲田大学中退。『日本学生新聞』編集長、雑易会社を経営。1982年、『もうひとつの資源戦争』で論壇デビュー。国際政治、経済、歴史、文芸などをテーマに、独自の取材で情報を解析する評論を展開。中国ウォッチャーとして知られ、中国全省ならびにアジア全域に足を運び、取材活動を続けている。

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