朝ドラ【ばけばけ】商売の基本を理解していなかった武士たちの苦難 明治初期に空前の「ウサギブーム」はなぜ起きたのか

(写真:住吉 秀公 / PIXTA)
NHKの連続テレビ小説「ばけばけ」が新たにスタートした。明治時代の作家・小泉八雲(パトリック・ラフカディオ・ハーン)の妻・小泉セツをモデルにした物語である。ギリシャに生まれて、アイルランドで幼少時代を過ごしたラフカディオ・ハーンが日本に渡ったのは、40歳のとき。翌年に小泉セツと結婚し、46歳で日本国籍を取得。小泉八雲として第2の人生を送った。「耳なし芳一」などの『怪談』で知られる小泉八雲と、その妻の小泉セツは、どんな生涯を送ったのか。『大器晩成列伝 遅咲きの人生には共通点があった!』の著者で偉人研究家の真山知幸氏が解説する。
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「士族の商法」の先駆けとなった幕臣たち
「父には父の考えがあって、働いとらんのじゃけ!」
NHKの連続テレビ小説「ばけばけ」の初回では、幼き主人公の松野トキが学校で「働け!」「働け!」とクラスの男子からはやしたてられると、そんなふうに言い返している。
明治時代の初期、武士の世が終わったことで、武士階級の多くが没落することとなった。
ドラマでは、武士たちが時代の変化に戸惑いながらも、手探りで商売を始める様子が描写されているが、慣れないために、実際にもなかなかうまくいかなかったらしい。そのことを揶揄して「士族の商法」という言葉が生まれた。
「士族の商法」にいち早く目覚めた武士たちがいる。それは幕臣だ。
江戸城が無血開城され、徳川慶喜が江戸に隠居すると、田安亀之助、後の徳川家達が、徳川宗家の家督を継いだ。
家達が駿府藩主として与えられた領地は、わずか10分の1の70万石。約3万3400人にも上る旗本や御家人など幕臣たちは、自分たちでこれからの道を選ばなければならなかった。
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