「探究学習で子供の学力が低下?」教育現場でささやかれる説は本当か 日本の教育界で繰り広げられる"終わりなき"論争とは
近年、教育の現場やSNS上でこんな声を耳にします。
「探究学習のせいで、子供の学力が下がっているのではないか」
この“探究学習”という言葉は、実は正式には学校段階によって名称が異なります。2022年4月から高校で必修化され、「総合的な探究の時間」=「探究学習」の時間がどの高校でも取られるようになりました。小・中学校でも「アクティブラーニング」の手法が取られるようになり、総合的な学習はより一層の深化が進むことになりました。
どちらも、詰め込み型の知識教育から一歩進み、学んだ知識を実生活に活かしながら、他者との協働や主体的な課題解決力を育てることを目的に導入されました。つまり「教科を超えた、学びの実践の場」として設計されているのです。
全国学力テストの結果が低下した要因が議論に
文部科学省が24年に実施した「全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)」では、小学6年生と中学3年生の平均正答率が、21年度と比べて全体的に低下したことが報告されました。
この結果を受け、一部メディアや教育関係者の間で、「22年度から本格実施された探究学習が、基礎学力を軽視した結果ではないか」という論調が広がりました。
この論調が正しいかどうかについては判断が難しいところですが、実はこの「知識を詰め込む教育」vs「思考力を育てる教育」の議論自体は、ずっと昔から教育業界が扱ってきた議論だと言えます。
1990年代後半、「詰め込み教育からの脱却」を掲げて導入されたのが「ゆとり教育」。教科内容を削減し、体験活動や思考力を重視した教育が展開されました。



















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