「探究学習で子供の学力が低下?」教育現場でささやかれる説は本当か 日本の教育界で繰り広げられる"終わりなき"論争とは

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こうした背景を踏まえると、「探究学習のせいで学力が下がっている」という言説は、教育の歴史的サイクルの中で生まれる“揺り戻し”の現象だと考えられます。

では、文部科学省はこの二元論をどう整理しているのでしょうか。25年9月に公表された「次期学習指導要領に向けた基本的な考え方」では、この2つの教育を、構造的に示しています。

この図の「知識及び技能」と「思考力、判断力、表現力等」は、この記事の中で勝手に自分が呼んでいる「詰め込み型の教育→知識及び技能」と、「思考力的な教育→思考力、判断力、表現力等」と置き換えてご確認ください。

この図を示したうえで、このような明記があります。

「ある程度の知識・技能なしに思考・判断・表現することは難しいし、思考・判断・表現を伴う学習活動なしに、知識の深い理解と技能の確かな定着は難しい」

つまり、「知識・技能」と「思考・判断・表現」は対立する概念ではなく、相互補完的な“ヨコの関係”として位置づけられたのです。この両者を同時に育成することこそが、「主体的・対話的で深い学び」の実現につながるとされ、文部科学省は次期学習指導要領でこの在り方を強化しようとしています。今まで「詰め込み型」と「思考力型」が完全に分けられていたところから、今後はこれが混ざっていくということなのだと考察できます。

「詰め込み型の教育」と「思考力的な教育」の議論

この「詰め込み型の教育」と「思考力的な教育」の議論は、ずっと続いていくのかもしれません。

日曜劇場「御上先生」では、第8話でこんなセリフがあります。

御上先生「なぜ『考える教育』が浸透しないかというと、それは、暗記力に頼った詰め込み式の教育を変えようとすると一時的に見た目の学力…つまりテストの点数が落ちるからだ」
和久井「思考力が身に付けばまた上がるのに待てない。そういうことですよね」


思考力的な教育は、目が出て膨らんで花が咲くまでは時間がかかるという教育でもあります。教育の成果は、そういう意味では“長期戦”でもあります。短期的な点数の上がり下がりに一喜一憂するのではなく、もう少し長期的に考えてもいいかもしれません。文部科学省も向き合っているように、この「考える教育」が浸透するには時間がかかるかもしれませんね。

西岡 壱誠 ドラゴン桜2編集担当

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にしおか いっせい / Issei Nishioka

1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で不合格。崖っぷちの状況で開発した「独学術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。

そのノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国の高校で高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師には指導法のコンサルティングを行っている。また、YouTubeチャンネル「スマホ学園」を運営、約1万人の登録者に勉強の楽しさを伝えている。

著書『東大読書』『東大作文』『東大思考』『東大独学』(いずれも東洋経済新報社)はシリーズ累計40万部のベストセラーになった。

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