大学全入化時代「Fラン大学」論争の本質を問う 大学は万人に開かれた「ユニバーサル段階」に

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大学生
大学は万人に開かれたユニバーサル段階にある(写真:IYO / PIXTA)

このまま出生数が減り続けると、大学進学率が100%になったところで、数年後には出生数が現状の全体の大学入学定員(約63万人)を下回ってしまう。

それほどに出生数の減少は激しく、大学全体では入学定員を減らさなくてはならないのだ。まず、7年前に文部科学省が出したグランドデザイン(「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(2018年11月答申)」)の見直しが求められるだろう。

さらにAI(人工知能)の進化は目を見張るほどだ。AIが人間の能力を超えるシンギュラリティは2045年に到来すると言われたが、どんどん前倒しされそうだ。AIがいつまでにどのように進化するのかはまったく予想がつかない。それほどに進化のスピードが速く、今後の予測が困難な時代にある。

ユニバーサル段階にある日本の大学

さて、日本の大学はいま「ユニバーサル段階」にあると言われている。

1973年にアメリカの教育社会学者であるマーチン・トロウが論文で発表した高等教育機関の在り方を示す概念によるもので、文部科学省の議論などでもよく示されるものだ。この論文では高等教育の在り方を就学率によって3段階に区分けしている。その1つが「ユニバーサル段階」である。

エリート段階(就学率15%未満)、マス段階(就学率50%未満)、ユニバーサル段階(就学率50%以上)といった段階を経て、高等教育は量的な拡大をして、その教育の目的や内容が質的に変容していく。

就学率を進学率に読み替えて議論されることが多いが、大学進学率(短期大学を含む)は50%を超えて久しくなった。2024年度の大学進学率(短大含む)は62.3%であり、大学(学部)進学率は59.1%、短大進学率は3.2%である。

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