「国立大学の学費を(現在の3倍近い)150万円に上げるべきだ」。3月27日、文部科学省・中央教育審議会の高等教育のあり方に関する特別部会で、伊藤公平慶應義塾長はそう言い放った。
私立大学との学費の格差是正を訴えたものだが、背景には学生集めに苦労し、学費を値上げせざるをえない私立大の窮状もある。すでに5割超の私立大が定員を割り込み、赤字も4割を超える。
国立大も同様だ。国からの運営交付金が減らされ、財政状況は厳しい。3倍は極端だが東京大学でも学費値上げの動きがある。しかし、下宿生や生活が苦しい学生も多く、値上げは大きな負担となる。
高い教育を低費用でというニーズに答える大学も増えてきた。地方中心に増加し、101校となった公立大学は、「地元で国立大に準ずるレベルの大学に安い学費で通えるため、地方の高校生の注目度が高い」(教育ジャーナリスト・山内太地氏)。
オンラインでの新たな教育を目指すのが2025年にドワンゴと日本財団が共同で開学するZEN大学(仮称)だ。「低い費用での高レベルな教育を目指す」(若山正人学長〈就任予定〉)という。
年内受験が一般的に
入試も様変わりしている。学校推薦型選抜や総合型選抜といった「年内入試」が増え、中堅以下の大学では一般入試を縮小させている。国公立大でも年内入試は増加傾向で、寒い冬に学力試験を受ける人は一部になりそうだ。
大学の役割も変化している。研究成果を基にした大学発ベンチャー企業が増え、社会人のリスキリングの場としての期待も集まる。
ここでは、少子化の影響など、大学が置かれた状況が一目でわかる8つのデータ&図表を集めた。
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