東北大が第1号の認定大に
研究力向上を目指し、政府が立ち上げた10兆円規模の大学ファンド。その支援対象が国際卓越研究大学(卓越大)だ。卓越大に認定されれば、ファンドの運用益から年に数百億円という破格の助成を最長25年間にわたり受けられる。
2023年の初回公募では東京大学や東北大学、筑波大学などの国立大学8校、早稲田大学や東京理科大学など私立大学2校が応募し、東北大のみが卓越大の最終候補となった。今年度中に東北大が卓越大として正式に認定され、助成が開始される予定だ。卓越大の第2回の公募も今年度中に行われる。
ただ、助成開始前から卓越大制度への不信感が高まっている。その背景にあるのが、文部科学省が大学に突きつける「密約」と、審査過程での政府側の「だまし討ち」のような態度だ。
「卓越大に認定されたら、大学ファンドへ資金を拠出しなくてはならないという文科省との『密約』がある」。卓越大の初回公募に応募したある大学の幹部は苦々しい顔で語った。卓越大に認定された場合、必ずファンドへ拠出するよう文科省から求められていると複数の大学関係者も証言する。
文科省が22年11月に公表した卓越大に関する「基本方針」によると、大学からのファンドへの拠出はあくまで任意で、義務ではない。
だが、大学ファンドから出資金が払い戻されるのは卓越大としての支援が終了した後、つまり最長で25年後になる。そのうえ、出資金は大学ファンドを運用する科学技術振興機構に一定の財務基盤が形成されていることを前提に、払い戻し時点での運用状況に応じた出資金相当分を払い戻すという。運用状況によっては出資した全額は戻ってこない可能性があるのだ。
ある国立大学幹部は「大学独自の基金の運用に注力している中、大学ファンドへの出資は財政にマイナスの影響を及ぼしかねない。第2回の公募ではそのメリット、デメリットを見極めたい」と語る。
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