官製改革で疲弊する大学はどう変わるべきか。大学の歴史に詳しい竹内氏に聞いた。
1990年代以降、国立大学の法人化や国際卓越研究大学(卓越大)制度など「大学改革」が繰り返されてきた。卓越大制度では、世界最高の研究水準を目指して改革を断行する大学を文部科学省が選定、年数百億円を最長25年にわたり支給する。一方で、選定に当たってはガバナンスの強化や事業規模の拡大が求められる。
しかし、こうした改革に振り回され、研究力をはじめ大学の質はかえって低下している、という批判の声は多い。
教育社会学が専門で大学の歴史に詳しい京都大学の竹内洋名誉教授は「かつて大学は旧文部省をはじめ政府からの不当な介入に声を上げてきた。それが今や改革に振り回されている」と警鐘を鳴らす。大学改革の功罪は何か? 竹内氏に聞いた。
──竹内さんは「大学と文科省は共犯関係だ」と指摘します。
大学は財源拡大や社会貢献、ガバナンス強化を求める政府主導の改革への対応に精いっぱいで、研究や教育の質を向上させるという本来の目標に集中できていない。
大学に裁量権を与えず、補助金を餌に改革を強いる政府も問題だが、大学側も改革への不満やその代替案をはっきりと表明してこなかった。その意味で文科省と大学は共犯関係にある。かつては、大学側も政府からの不当な介入には断固反対してきた。それが今や大学は「へたれ」ているような状況だ。政府から見くびられ「図に乗った」改革に振り回されている。
改革にはメリットもデメリットもあるが、きちんと政策評価されてこなかった。そこを精査し、今後の改革に生かす必要がある。
大学が文科省に忖度
──今回の卓越大制度でも大学が振り回されています。
一連の改革により助成事業などの競争的資金を獲得するため大学が文科省に忖度(そんたく)するようになった。
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