国立の女子大学である、奈良女子大やお茶の水女子大で工学部が相次いで新設される。工学分野で女性の人材が求められていることがこうした動きの背景にある。
工学=男性はもはや過去の話。
男女の性差を解析し、研究開発に取り入れる「ジェンダード・イノベーション」の重要性も叫ばれ、工学分野でも女性の人材が求められるようになっている。
ところが、日本は工学分野の女性人材があまりに少ない。経済協力開発機構(OECD)の調査によると、2019年に大学などの高等教育機関に入学した学生のうち、STEM(科学・技術・工学・数学)分野を専攻する女性の割合は、日本は加盟国36カ国で最下位。とくに工学・製造・建築は16%にとどまる。
この問題を解決すべく、女子大初の工学部設置に乗り出したのが、国立女子大の奈良女子大学とお茶の水女子大学だ。両校は2016年に大学院の生活工学共同専攻を開設している。
共学の工学部は男子が大半を占めるので抵抗を感じる女子学生もいた。そうした人も女子大ならば、思う存分、工学を学べるわけだ。
工学部に女子が少なかったのは、興味を持ちにくい学問体系だったこともある。そこで両校は新しいタイプの工学部を目指した。
リベラルアーツから学ぶ
まずは奈良女子大学が、22年度に工学部工学科を新設した。
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