少子化やコロナ禍など大学経営がますます苦しくなるなか、利益率の高い大学にはどのような傾向があるのか。
少子化やコロナ禍が私立大学の経営を悪化させている。私立大学の収入の柱は学生が払う入学金や授業料などで、入学者数が減少するほど経営は厳しくなる。
日本私立学校振興・共済事業団によると、2021年度に定員割れを起こした私立大学は前年から93校増の277校にも及んだ。集計対象の597校のうち約5割が定員割れとなっている。コロナ禍で海外からの留学生が減少したことなどが響いたとみられる。
利益率10%が目安
高校を卒業する18歳人口は、2023年が前年比2万人減の112万人。2040年には約88万人まで落ち込むとみられている。一方で、2000年に478校だった私大は2020年には607校にまで増加しており、今後、定員を確保できずに収支が悪化する大学が相次ぐと予想される。
日本私立学校振興・共済事業団は、「定量的な経営判断指標に基づく経営状態の区分」として私立大学を正常からレッドゾーンまで4つの分類に分けている。分類に使う定量指標として8項目を設定しているが、その1つに挙げられるのが、経常収支差額比率が10%未満かどうかだ。
経常収支差額比率とは経常収入に占める経常収入差額の割合を示す。経常収入とは資産売却などの特別収入を除いた収入で、大学の本業である教育活動収入(授業料などの学生生徒等納付金(学納金)や教育目的の補助金など)に教育活動外収入(受取利息や配当金)を加えた額で算出する。
経常収支差額とは企業でいう経常利益にあたり、「教育活動収支差額」(教育活動収入から、研究経費や人件費などの教育活動支出を引いた額)と、利息や配当、利払いといった教育活動以外の収支を示す「教育活動外収支差額」(教育活動外収入−教育活動外支出)の合計値を指す。
つまり、経常収支差額比率とは企業でいう利益率にあたるものになる。プラスであれば、教育や研究など経常的な活動から資金を生み出し、安定的な経営をしているといえる。
では、経常収支差額比率が高い私大にはどんな特徴があるのか。2023年2月14日の配信記事「利益を確保している私立大学ランキングTOP200」では、2021年度(2022年3月期)決算で利益が多い学校法人ランキングを紹介した。今回は、経常収支差額比率が多い学校法人を順にならべ、「利益率が高い私立大学ランキング」として紹介していく。ランキングでは2021年度、2020年度の経常収支差額と2021年度の経常収入も合わせて記載した。
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