大学ファンドは、政府出資の1.1兆円と、国からの「借金」である財政投融資8.9兆円が原資だ。年間の運用目標は3%+長期物価上昇率の約4%以上と、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の01年度から22年度までの年平均の運用利回り3.59%よりも高い。
運用開始から20年後には財政投融資資金を政府に償還していく必要もあり、自己資本を積み増す計画だ。大学に十分分配できるほどの運用益を確保しながら、自己資本を積み増すには高い利回りで運用を続けるか、新たに出資を募る必要がある。今回の「密約」も「大学ファンドの運用を安定させるために、大学からも出資させるよう財務省から文科省へ内々に指示があったようだ」との声さえある。
22年度の大学ファンドの運用実績は604億円の赤字。長期的・安定的に運用益を確保することを狙っているため、22年度の赤字だけでは判断できないが、「卓越大に認定されても十分な助成がもらえるか不透明なうえ、出資金もきちんと返ってくるのか不安だ。そもそも運用成績の芳しくない大学ファンドに出資するよりも、その分を自学で運用したほうがメリットは大きい」(前出の大学幹部)という指摘もある。
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