12月1日、大学教員らの団体が国立大学法人法の改正案の廃案を求める署名を文部科学省へ提出した。集まった署名は4万筆超。同案へは多くの大学関係者から「教育と研究の環境を悪化させる」と、反発が強まっている。
改正案は10月20日に開会された臨時国会に提出され、11月20日に衆議院を通過、現在は参議院で審議中だ。この12月7日にも参議院文教科学委員会で強行的に採決される可能性があると大学関係者は焦りをみせる。
国立大学法人法は、国立大学の設置根拠や、組織や運営方法を定める法律。改正案では、東京大学や京都大学など“大規模な国立大学”に中期目標、中期計画などを決定する運営方針会議の設置を義務づける。また土地の貸し付けや債券発行などの規制緩和、2024年10月に東京工業大学と東京医科歯科大学が統合して誕生する「東京科学大学」の法的根拠を与えることも盛り込む。
政府が臨時国会での可決を急ぐ背景には2024年度から始まる国際卓越研究大学(卓越大)制度がある。卓越大制度は研究力強化を目的に、10兆円ファンドの運用益から最大年数百億円の支援を受ける大学を数校選定するものだ。
卓越大にはガバナンス強化のために「運営方針会議」を設置することが前提となっている。すでに卓越大の認定候補に東北大学が指定されているが、制度開始にあわせて運営方針会議を設置するには、臨時国会中に可決する必要がある。
文科省への「忖度」が加速する
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