
前回の記事でも述べたとおり、日本の大学は「ユニバーサル段階」にあり、1970年代以前のようなエリートのための存在ではなく、万人に開かれたものになっている。
第二次ベビーブーム世代が大学入学を迎えた頃から進学者が増加した。18歳人口のピークを過ぎて以降、18歳人口は減少の一途であるが、就職氷河期等を背景に大学進学率は上昇し、いまや短期大学を含む大学進学率は6割を超えるようになった。
一方、2024年度には大学入学総定員を大学入学者が1万人以上下回り、大学は「全入化」の状態にある。そのため、私立大学の約6割が定員割れになった。人口が多い都市圏でも定員割れを起こす大学が増えている。
こうした中で、2025年4月に入学する学生の2025年度入試、翌年の2026年度入試は18歳人口があまり減らなかったり増えたりするため、大学としてはひと息つけるだろうが、2027年度からはまた18歳人口が減り始める。2040年度あたりには大学入学者は、大学進学率が上がらない限り、3割程度減る可能性がある。
この2027年度を迎える準備を大学はできているだろうか。学部を再編して定員を減らすところもあるだろう。郊外のキャンパスを閉鎖して都心部でキャンパスを統合するところも出てくるだろう。定員割れを起こし、今後の対策を考えなければいけない私立大学が6割もあるのが現状である。
定員割れを避けたい大学の現状
さて、いま行われている2025年度入試で、難関大学を除く多くの大学が目指すのは定員割れの解消と防止である。そのためには早期の入学予定者確保が必要であり、「年内入試」と言われる「総合型選抜」「学校推薦型選抜」で、できる限り入学定員に近いところまで入学手続きをしてくれる受験生を獲得することを求められている。
その影響で、2月から始まった「一般選抜」での合格者を絞り込むことになった大学は多いはずだ。しかし、総合型や学校推薦型選抜で十分な受験生を確保するのは、定員割れが激しい大学にはなかなか難しく、一般選抜も合格者を多く出さざるをえない。
だが、そもそも受験者が少なくて限界があるため、今年度も継続して定員割れを起こすだけでなく、存亡の危機に陥る。このような状態では再び人口減少が起きる2027年度以降に募集が改善する見込みはない。何らかの大なたを振るうことになるだろう。
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