日本の財政はこれまで緊縮だったのか、放漫だったのか?「PB黒字化目標」がインフレだと歳出抑制する罪、金利上昇で限界
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「責任ある積極財政」を掲げる高市首相は、従来の財政運営を「過度な緊縮志向」として否定し、成長分野への投資拡大を訴えている。
高市氏が特にこだわっているのが現在のプライマリーバランス(基礎的財政収支)目標だ。この黒字化を目指す目標が機動的な財政運営を制約しているとして、目標の見直しを掲げている。6月ごろに示される骨太の方針でもこの財政目標の見直しが主眼に置かれることになるだろう。
高市首相の「過度な緊縮志向」という発言に対しては批判的な声が多いように思われる。世界最大レベルの債務残高を抱える中、大規模補正予算の編成が繰り返されてきた日本を「過度に緊縮」と評価することに対する違和感から来る批判である。
筆者はこの点については半分正しく、半分誤っていると考えている。
その点を説明するために、まず近年の予算編成がどのように行われてきたのか、既存のプライマリーバランス目標がどのような課題をはらんでいたのかを説明しておきたい。
安倍政権が設けた「歳出上限」3つの問題
日本では長年「XX年に国と地方のプライマリーバランスを黒字化する」という目標を掲げた財政運営が行われてきた。最初にこれが掲げられたのは2001年の小泉政権においてであるが、実際には黒字化が実現せず、目標年度の先送りが繰り返されて現在に至っている。
そして、15年に安倍政権下の「経済・財政再生計画」において、この目標を達成するための予算編成基準として設けられたのが「歳出の目安」である。これは「予算編成の際に歳出の伸びを社会保障における高齢化による増加分程度にとどめる」という予算編成の基準だ。
"目安"と柔らかい名称にはなっているものの、実際の予算編成では順守されてシーリング(歳出規模の上限)として機能し、社会保障費の薬価引き下げなどの歳出削減が行われてきた。
筆者の見立てでは、この「歳出の目安」は少なくとも3種類の問題を抱えていた。






















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