「不適切点呼」で揺れる日本郵便、国交省が大規模処分を開始、トラックに続き軽貨物車も停止、外部委託で宅配崩壊回避でも各所に悪影響

「オペレーションの混乱はない。年末年始の繁忙期も乗り切れる。メドはすでに立っている」
貨物ドライバーに対して飲酒の有無などを乗務前後に確認する、法律で義務づけられた点呼を怠っていた「不適切点呼問題」を巡って、10月1日に記者会見を開いた日本郵便の小池信也社長はそう語気を強めた。
この日、国土交通省が全国111局の郵便局に対して一部の軽貨物車の使用停止処分を通知した。今後も順次、毎週100局ほどのペースで処分が下され、最終的な対象は約2400局に上るとみられる。
6月にはトラックなど約2500台の事業許可取り消しを受けた。今回の処分と合わせて、ゆうパックや郵便物などの配送への影響が懸念されていたが、小池社長は「報道やSNSで『ゆうパックをやめるのでは』などと言われたが、会社としてそのようなことはない」と強調した。
事業への影響は限定的か
前回の処分対象だったトラックは、主に郵便局などから荷物を集める過程で使用する。許可取り消しによってこなせなくなった集配や運送を佐川急便や西濃運輸など数社に外部委託しており、この分だけで年間65億円程度の費用増を見込む。
今回の軽貨物車は、各局から送り先の住所へと届ける「ラストワンマイル」に用いられる。違反の重さや郵便局の保有台数に応じて処分内容は決まり、各局で1~7台が20~160日の使用停止となった。
車両を新たに追加して穴埋めすることも法制度上は可能だが、日本郵便は「処分の趣旨を鑑みて、都市部では基本的には外部委託する」との考えを示している。協力会社を見つけにくい地方では近隣局から応援を出す。もともと1台しか保有しておらず、立地的に応援も難しい3局では新たに車を配備した。
日本郵便によると、ラストワンマイルの外注比率は平時で50%程度。つまり、今回の処分で影響を受けるのは、内製化している残り半分の配送業務となる。同社幹部は「外注比率は一時的に高まるが、7割もいかないだろう。事業全体への影響は限定的だ」との見方を示す。
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